「アラブの春」など今は昔。同胞団を弾圧し、エジプト独裁者の座についた男の剛腕。
2014年8月号 GLOBAL
イラクの内乱を尻目に、1人の権力者が「我が意を得たり」とほくそ笑んでいる。テロとの戦いを振りかざし、イスラム主義者を徹底弾圧するエジプトの新しい大統領にして独裁者、アブドルファタフ・シシである。シシの登場によって、2010年に始まった「アラブの春」――中東の民主化が逆戻りするのが決定的になる一方、「自由」の代償であった政情不安は、少なくともエジプト国内では収まりつつあるかに見える。アラブでは強権政治しか、安定を勝ち得ないのか、「現代のファラオ」の素顔を探った。無名だったシシが世に知られるようになったのは、2012年7月、イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」出身のムハンマド・モルシが初の民主的選挙でエジプト大統領に就任し、国防相に抜擢されてからである。シシ自身この時、自らが1年後に最高権力者にのし上がるとは思っていなかっただろう。民主的な選挙で大統 ………
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