10月大統領選は現職ルセフが優勢だが、「ロワー・ミドル」の台頭で光と影がまだら。
2014年9月号 GLOBAL
ブラジル国民にとって近来まれに見るその惨事は7月8日、南東部ベロオリゾンテ市にあるミネイロン・スタジアムで起こった。FIFA(国際サッカー連盟)ワールドカップ(W杯)準決勝で、ドイツがブラジルを7対1の大差で破り、6度目の優勝を狙うブラジルチームの戦いは、全土の国民の眼前で屈辱的な幕切れを迎えたのだ。「W杯のレベルに達していなかったんだ」とブラジル人サポーター、アントニオ・ボンフィンはスタジアムの外で吐き捨てるように言った。「7対1なんてあまりにひどすぎる」とはいえ、ピッチでこそ無様な姿を見せたブラジルも、大会自体の運営は驚くほどの出来映えだった。土壇場で完成したスタジアムは立派に持ちこたえ、老朽化して軋み音を立てていたインフラは、(大会期間中はビジネス全般が休止したことにも助けられ)それなりに機能し、反W杯の抗議デモも予想されたほど起きなかった。実 ………
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