訴訟引当金の戻し入れ益は、CFO自ら「正当な会計処理だ」と弁明する怪しさだった。
2014年9月号 BUSINESS
「また随分と幼稚な手段を使ったものだ」――。第1四半期決算の結果を見てアナリストたちは驚いた。欧州の太陽光ビジネスを1ユーロで売却して143億円の特別損失を出したが、訴訟引当金の戻し入れ益を192億円計上して、僅かな赤字で決算発表をしたのである。欧州の太陽光ビジネスが悪いのは随分前から知られていたが、なぜ今なのか。業績回復の見込みがなく、処分することが決まっていたなら、前期のうちに簿価をゼロにするなどの会計上の手当てをしておくべきだが、その余裕がなく、先送りしたのだ。
ある会計年度に処理したくない案件を先送りするのは常套手段とはいえ、シャープの損失の穴埋めは幼稚すぎた。前期はIGZOのパテントを中国企業に売却して急場を凌いだ。虎の子のIGZOの権利を売却するほど窮していたのだから、そもそも打つ手がなかったのだろう。それにしても訴訟引当金の戻し入れ益の計 ………
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