2015年1月号 連載
「人民愚なれば政府もまた愚ならん。人民智なれば政府もまた智ならん」と言った人がいたが、昨今の状況はやはり愚の方なのだろう。
民はわかりやすさ、手軽さを求め、さまざまな機会にそれらを強要すると同時に、被害者のように振る舞い、自らこそ道徳そのものであろうとする。官は借金をして民に分配し、お手軽な民は「あら嬉しや!」と、お礼に票を入れる。官は「民意、我にあり!」と低い投票率に感謝し、リベンジに勤しむ。民主主義は崩壊寸前。自ら勝ち取っていない民主主義とは、こんなものか。
ジャーナリズムの存在は大きい。権力があらぬ方向に行かぬよう批判、監視し、民は報道を通じて、社会を思考し、批判精神を養う。これがジャーナリズムの本懐なのだろうが、こちらも御用と誤報で崩壊寸前。
しかし、FACTAでは気概を持ったジャーナリストが、恐れず勇気をもって記事を書いている。今後も権力や市場経済に媚びずに雑誌を発行し続けることを、一愚民として期待している。
舞踏家 目黒大路