130兆円の年金運用が危うい。根の深いこのバトルは、そもそも厚労省の制度設計の過ちが元凶なのだ。
2015年3月号 BUSINESS [日本の年金「構造問題」]
本誌前号の「『130兆円GPIF』某重大事件」を読んで、相変わらずだなとため息が出た。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人、旧年金福祉事業団)の組織見直しで、首相官邸と塩崎恭久厚生労働相が対立しているというのだ。こういう記事は局所戦を描いたモノだが、その背景にある大局的な大問題を知れば、もっと見通しがよく理解できる。実は、筆者が大蔵省官僚の時、厚生年金を運用する旧年金福祉事業団を担当していた。その前には、厚生年金基金の運用も担当していた。そのころから筆者が感じていた「日本の年金に関わる構造問題」を知らずに、今のGPIF問題はとても語れないと思う。
まず、問題点を明らかにしておこう。▼問1 GPIFの株式運用見直しは大きな話か?運用資産130兆円で株式運用比率を12%から25%へと引き上げたが、これはせいぜい十数兆円の買い増しである。日本の株式時価総額500 ………
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