2015年4月号 DEEP
2月23日、東京・麹町の聖イグナチオ教会で的場テル(94)の葬儀が静かに執り行われた。一般には知られていない女性だが、終戦直後、疎開先の新潟県高田で駐留米兵相手のガレージセールから身を起こし、終戦翌年の1946年に東京・丸の内の連合軍接収ビル(現在の日本郵船ビルの場所)内に宝飾真珠の店を開いた。52年に建てられた日活国際会館「日活ホテル」(現在はペニンシュラホテルが建つ日比谷交差点角地)の地下アーケードに移って、そこで長らく「的場パール」を経営した。女性の社会進出が極めて珍しかった戦前、日本にタンゴを紹介したラテン音楽草分けの評論家、的場實と結婚し、戦後は子供2人を抱えながら、当時のセレブを相手に宝飾真珠の店を、有楽町の一等地で切り盛りするのは並み大抵のことではなかった。作家瀬戸内晴美(寂聴)が婦人画報59年7月号のエッセーで「トップレディー」として ………
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