追悼・片山豊 「フェアレディZ」の生みの親

人間の本能をくすぐる車を造れ!

2015年4月号 BUSINESS [ひとつの人生]

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我が国の自動車産業を黎明期から支え、「フェアレディZ」の生みの親である初代米国日産社長の片山豊が2月19日、天寿を全うした。享年105歳。東京・自由が丘に事務所を構え、100歳を超えても杖をつきながら、気さくに取材に応じてくれた。最後にお目にかかったのは5年前、トヨタの「プリウス」が品質問題で矢面に立たされた時だった。「あれは人間の操作能力を超えた電子制御の問題。人が車に操られる時代になった。もう少し車の構造をシンプルにしないと、同じような問題が起きる」と、実に明快だった。その生涯は波瀾万丈だったが、信念を貫き通した。慶応義塾大学を卒業して1935(昭和10)年に日産自動車に入社。鮎川義介が日産を創業したのは、その2年前。自動車に未来を感じて飛び込んだ。大学時代に生糸の輸出船に助手として乗り込み、豊かな米国の車社会を目の当たりにしていたのである。戦前は、 ………

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