読者の声

2015年8月号 連載

  • はてなブックマークに追加

日経政治部記者時代の反省というわけではないが、政局は既存メディアに任せ、日々国会を見て政治記事を書いている。

日本の国会は全省庁に対応した委員会が置かれ、その省庁に関する一般的な質疑ができる。委員会の法案審査と国政調査の2本柱は、役所の情報をいつでも取り出すことができる打ち出の小槌であり、あまり知られていないが、このしくみは先進国を含めて他に例を見ない。国会では、年100本以上の法案がラグビーボールのように駆け巡る。今国会は安全保障法案が最大の目玉だったが、これに先立ち、防衛装備庁設置法案、特定防衛調達法案が議論された。

そんなおり、ファクタ7月号が「対豪潜水艦『4兆円ビジネス』争奪戦」を掲載した。法案の地下水脈である、役所と業者との予算をめぐる関係をうかがい知れた。おかげで、私自身の国会傍聴の厚みが増した。

地下水脈をおさえた記事こそFACTAの真骨頂。それは他誌・紙に例をみない、議会制民主政治に不可欠なインフラだ。

政治ジャーナリスト 宮崎信行

   

  • はてなブックマークに追加