国際化に躓いた「内弁慶」新聞が、蛮勇を振るった。なぜ財務の背骨が折れそうな「高値づかみ」ができたか。
2015年9月号 DEEP [水と油のシナジー効果]
安倍晋三総理の耳に「FTが買えますよ」と“身内”が囁いたのは6月上旬だった。サーモンピンクの紙面で「シティー(ロンドンの金融街)のバイブル」と言われた英経済紙フィナンシャル・タイムズが親会社から売りに出されて久しいが、中国に買われるくらいなら日本が買えば――と。総理の脳裏には一瞬、2013年8月のFTの紙面がよぎったに違いない。「失言癖日本はアジア平和の危機」という扇情的な見出しとともに、旭日旗を掲げた空母(新護衛艦「いずも」)をかつぐ自分の漫画とコラムが掲載されたからだ。総理のみか官邸も外務省も憤りを隠さず、当時のFTの東京支局長が矢面に立たされた。執筆したのはロンドン本社のチーフ外交コラムニスト、ギデオン・ラッチマン。06年にFT入りしているが、その前はThe Economistに15年間在籍したベテラン記者だ。終始、中国を代弁するかのような記事で総理を「軍国主義者 ………
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