可視化の一方で、肝心の長期勾留の“拷問”は手つかず。これでは冤罪の根は断てない。
2015年10月号 DEEP
容疑者が他人の犯罪事実を明らかにすることで、求刑軽減などの恩典が得られる「司法取引」の導入などが骨子の刑事司法改革関連法案は衆院を通過したが、ヘイトスピーチ禁止の人種差別撤廃法案との調整がつかず、通常国会での成立が見送られ、秋の臨時国会に回された。すべては、あの自信なげな目つきをした大阪地検特捜部の主任検事が、証拠品のフロッピーディスクのデータを改竄したことに始まった。朝日新聞のスクープで、自他ともに認める「検察の無謬性」が崩壊したのだ。「事件を一面トップで報じた新聞がまだこの部屋(執務室)にあるよ」と述懐するのは、東京地検特捜部長を務め、リクルート事件の主任検事を担当した宗像紀夫弁護士。一連の検察不祥事に胸を痛めるOBの一人だ。その反省から生まれた改革法案は、司法取引の導入のほか、①裁判員裁判対象事件と、検察が独自に捜査する事件に限り、 ………
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