新型テロが欧州を「戦場化」

組織型と一匹オオカミ型を融合し、傍観者を犠牲者に。空爆強化や派兵は、中東の憎悪を掻きたてて思うツボ。

2016年1月号 GLOBAL [イスラム国が変容]

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過激派組織「イスラム国」(ISまたはISIS)は政治的なアニマルである。それを思い知らされたのは2015年1月、人質になっていた後藤健二氏と湯川遥菜氏を斬首し、日本の憲法9条の解釈変更をめぐる国内の論争に忍び込んできた時からだった。ISはいま欧州に目を転じ、その政治的な脆弱性を暴き出そうとしている。11月13日夜、ISが犯行声明を出した組織的なパリ同時テロは、04年にスペインのマドリードのアトーチャ駅構内などで死者191人、負傷者1600人を出した4人のジハーディスト(聖戦士)グループによる自爆テロに次ぐ最悪の事件となった。

欧州共通の外交方針が不在

パリのテロはフランソワ・オランド仏大統領から過剰反応を引き出し、9・11テロ当時のジョージ・W・ブッシュ米大統領に倣ってか、テロ攻撃を「フランスに対する戦争行為」と宣言した。その後、テロ実行犯が欧州連合(EU)本部のあるブリュッセルに潜伏していると ………

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