2016年3月号 連載 [いまここにある毒]
2016年米大統領選の幕開けはホフスタッターの『アメリカの反知性主義』を彷彿とさせた。1950年代の赤狩りがキリスト教福音派と草の根回帰に発すると喝破した名著である。現にテレビの俗悪討論番組さながら、貧富の格差に喘ぐ大衆の憤懣を煽り立て、ワシントンやウォール街をこきおろす極論暴論の主ばかり。本命ヒラリーはアイオワで辛勝してニューハンプシャーで負け、共和党は緒戦で毒舌キャラのトランプを「宗教保守」のクルーズが抑えたものの、次は逆転という団子レースである。奇抜な髪の不動産王に「いろんなところから出血している」と揶揄され、討論会の司会を忌避されたFOXテレビの女性キャスターも、見れば猛禽のようなド派手メークの夜叉顔だ。まさに珍獣奇獣ばかりの動物園と化している。森本あんりによれば、原型はキリスト教のリバイバル(信仰復興)運動にある。イエスの再臨によって地 ………
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