牧師二人辞めてもごたごた キリスト教会きりきり舞い

2016年5月号 DEEP [ディープ・インサイド]

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「互いに愛し合いなさい」との教えがあるキリスト教プロテスタント教会で、目を覆うような泥仕合が続いている。

東京・世田谷区の玉川平安教会(日本基督教団)で2010年、牧師が信徒を提訴する前代未聞の事態が起きた。2人の牧師の言動や不透明な会計などに疑問を持った信徒が教団内で辞任要求書を配布したことがきっかけだった。

和解したものの、教会ではその後も総会が開かれず、会計も明示されなかったため、14年には逆に67人の信徒が牧師2人を訴え、その訴訟は今も続行中。

この間、教会運営はままならず礼拝出席者も激減。献金も減少してしまった。法廷で旗色が悪くなりつつあった牧師2人は解任を恐れたのか、昨年秋、自らの責任は認めないまま辞意を表明。この3月末に辞任した。大半の信徒は胸をなで下ろし、後任の牧師招聘に動き出した。

ところが、2人はすんなりと教会を後にしたわけではなかった。藤田義哉主任牧師は教団に出した辞任書の内容を開示しようとせず、後任の問題にも口を挟んでいるという。

もう一人の山口隆康牧師(東京神学大学名誉教授)は、合意の上で行われたはずの、給与のこれまでの削減分3121万円を、「未払い給与」として退職金とともに支払うよう役員会に請求してきた。代理人を立てて折衝を申し入れるとしており、決着はついていない。

山口牧師は教団の重鎮で、以前、信徒の一人に新教会建設のためと称し、教会ではなく自分に「300万円をください」と要求したことがあるという。

言行を威圧的、カルト的だと受け止める信徒もいるが、教団は傘下の教会の人事権や監査権を持たず、仲裁を行う立場にもない。明治以来、政財界にも信者が多かった日本基督教団だが、体質の劣化を問う声が上がっている。

   

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