どうせ歌舞伎役者の隈取りと思えばいい。演出過剰だけに、言を左右させるのは、トランプと同じ穴のムジナだ。
2016年7月号 GLOBAL [連載 「混迷」米大統領選 2]
今秋の米大統領選で、大方の予想を裏切って不動産王ドナルド・トランプが共和党候補の指名を確実にしたことから、さまざまな分析記事が溢れている。共和党の機能不全を論じたものから、米国政治システムの欠陥や民主主義自体の問題を解説したものまであり、ポピュリズムの台頭を指摘する人がいれば、トランプは人種差別主義を煽るだけと言う人もいる。また、トランプ現象は国内に閉じこもろうとする米国人の内向き志向を象徴したものとする解説もある。この手の説明は過剰反応というべきなのだが、今後もこういう解説があまた出てくるだろう。「識者」が政治の根幹を理解していないためだ。民主的な社会での選挙戦は念入りに演出された舞台のようなもので、そこでの政治的成功は意図や政策だけで説明できるものではない。我々は候補者を、例えば歌舞伎の役者のようなものとして見るべきだ――舞台で一番喝 ………
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