タイ「軍主導民主主義」の虚実

軍事政権が改憲を問う国民投票で大勝し勢いづいた。その後起きた爆破事件も「既存政党」弱体化の口実にしそうだ。

2016年10月号 GLOBAL [王妃誕生日の爆破事件]

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8月7日、軍事政権下にあるタイで国民投票が実施され、民政復帰後も軍が重要な政治的役割を担うとした憲法草案が承認された。プラユット・チャンオチャ暫定首相はこの投票結果を、2014年5月のクーデターで軍部が実権を握って以来、政情が安定していることを「国民が評価した」と自賛した。だがその数日後、シリキット王妃の誕生日にあたる12日未明にかけ、タイ中部の保養地や南部の観光地を連続11回の爆破事件が襲い、政権の面目は丸つぶれになった。今後軍政が描く“軍主導の民主主義”への移行は容易ではなく、抵抗が予想されることを暗示したと言える。憲法草案は、17年末に予定される総選挙に向け軍指名の起草委員会がまとめたもので、投票では賛成が61%と、反対39%を大きく上回った。国民投票は強権的なプラユット政権への「信任投票」の意味合いが強かったため、予想外の大勝はアナリストの意表を ………

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