怒濤のようなツイッターなどの大音響にかき消されて、不信と低俗の後味の悪さばかり。真剣な政策論はなかった。
2016年11月号 GLOBAL [「混迷」米大統領選 6]
米大統領選は、その時々でさまざまな様相を見せる。2016年版は共和党候補ドナルド・トランプの女性に関する下品な言葉が衝撃となったが、政策論自体は深みに欠け、つかみどころがない。大統領選は米国の命運を決める一大イベントであって、有権者はこれまでのどの選挙より重要な選択だ、と呼びかけられるのが常だった。たとえば1992年の選挙でビル・クリントンの主張は若者世代に新鮮に響き、冷戦終結後の新時代を象徴するものと受け止められた。08年は米国を悩ませていた対イラク、アフガニスタン戦争が争点で、バラク・オバマは国民の厭戦気分をうまくとらえ、撤退を約束して勝った。残念なことに、16年の選挙戦には最重要課題が見当たらない。もちろん世界は問題山積だが、米国の存亡に直接かかわるほどではない。誰も停滞する経済の原因を見つけられず、北朝鮮は常軌を逸し、中国も挑発的行動を繰り ………
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