市民多数が残るラッカ奪回に、クルド民兵依存は危うい。強力な助っ人だが問題は平和維持。
2017年4月号 GLOBAL
2011年から内戦が続くシリアでは、14年ころから緩やかに結合する2種類の戦争が国を破壊し、人道主義的、地政学的な惨事をもたらしている。西部シリアではロシアとイランが支援するバッシャール・アサド政権と各種多様な反体制派武装組織との戦闘があり、東部シリアでは過激派組織イスラム国(IS)と米国が主導する有志連合との戦いが進行している。ISは、例えば遺跡が多く、アサド政権から十分奪取する価値がある地域とみれば侵略してくるため、二つの戦闘は時に交差する。だが通常はアサドとISは共存しており、互いに相手を広報活動や兵士のリクルートになくてはならない便利な「敵」とみなしている。米国のドナルド・トランプ新政権はこの2者の共生関係を断ち切ろうとしている。米国はISの壊滅を目指す戦闘を加速するため、地上戦闘部隊をシリアに派遣する可能性もある。(編集部注=ジェームズ・マテ ………
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