2017年8月号 DEEP [ディープ・インサイド]
出産の痛みを麻酔で和らげる無痛分娩で、母子が死亡したり重体になったりした事故が相次いで報じられている。厚生労働省は日本産科麻酔学会と研究班を立ち上げ、対策に乗り出すが、開業医の団体である日本産婦人科医会が猛反発している。無痛分娩はフランス8割、米国6割を筆頭に欧米では実施率が高い。日本は長年普及せず、2007年度は推定2.6%だったものの、近年倍増したとみられている。ただし、分娩時の体制は欧米とかけ離れている。欧米では、産科医、麻酔科医、新生児科医が24時間常駐する大規模病院が出産を担う。一方日本では出産の半数が診療所で行われており、無痛分娩でも診療所の産科医が1人で麻酔も出産も担当するケースが目立つ。今回の事故が起きた4医療機関も、診療所か小規模病院だった。無痛分娩で用いる硬膜外麻酔では、熟練医でもまれに狙いが外れて異なる場所に麻酔が入り、妊婦が ………
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