2017年9月号 連載
目の前を足早に流れていく世の中の動きについて、毎月解き明かしていただき、頭の中の整理に大いに役立たせていただいている。
子供の頃の家族旅行と言えば国鉄の急行だった。ボックスシートに駅弁四つと冷凍みかんを持ち込んで旅を楽しんだ。先日ロマンスカーの車中で、座席の向きを変えずに座っている4人家族を見かけた。そこには駅弁は無く、携帯に専念する個人4人が相席していた。家族旅行がこんなもんだから社員旅行が無くなるのも当然であろう。
家庭で育てられた子供は、学校の中で集団生活を通して、社会性を身につける。昔は、学級という表社会とは別に、ガキ大将が君臨する裏社会もあって、自分の身の程を教えてもらった。最近では、大学でも学業優先のため部活が衰退しており、上下関係や横のつながりといった関係性を構築する術を身につけないまま就職することになる。受け入れた企業は、かつて家庭や学校が教えていたはずのことまで教えていかないと、一人前の社会人にはならない。
家を支え、地域を支え、これからの祖国日本を支えてくれる人材を育てるのは一体誰なのだろうか。
あしがら平野一円塾 檀上敏夫