高校文系の数学を「アホ化」ベクトル知らずでいいんだって

「忖度」の文科省が呆れた学習指導要領改訂。統計ブームに便乗しただけ、生徒不在の政治力学。

2018年5月号 LIFE

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「文部科学省は高校数学を壊す気か」。教育現場で今、怨嗟の声が渦巻いている。発端は3月30日に告示された高校学習指導要領(2022年度実施)の数学。主に2年生の文理共通コース「数学B」に従来盛り込まれていた定番の「ベクトル」が、3年生の理系コースで主に扱う「数学C」に追いやられた。10年に一度行われる指導要領改訂での今回の科目再編に、高校数学教諭たちが怒り心頭に発するのも無理はない。文系の生徒が空間や図形、さらに相対性理論など現代物理学への理解を深めるベクトルを学ばないまま卒業することになるからだ。しかもベクトル学習が前提の大学での線形代数、それを土台とする経済学などの学習の足かせになることも確実で、日本の将来を担う生徒たちの基礎体力を弱めることは言うまでもない。「今でさえ学力低下が著しい文系の大学生が、ベクトルも知らないようでは、経済学部は成り立た ………

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