2019年1月号 POLITICS [ポリティクス・インサイド]
ワキ甘の深山防衛装備庁長官
政府は12月5日、防衛大綱見直しに向けた自民・公明ワーキングチームに対し19年度から5年間の中期防衛力整備計画の骨格を示し、航空自衛隊F15戦闘機の後継機として米国から最新鋭ステルス戦闘機F35を最大100機購入する方針を説明した。F35は1機150億円と高額なため、日本では組み立てず完成機輸入でコストを圧縮するというが、これは表向きで、実は「米国製兵器のセールスマン」トランプ米大統領の強硬な要求に屈したのだ。
それを見越したように11月30日、東京・永田町のザ・キャピトルホテル東急で、またぞろ「防衛利権コンビ」が蠢きだした。初代防衛相だった久間章生が代表理事を務める一般社団法人「国際平和戦略研究所」(CISS)が防衛業界関係者を集めて怪しい隔月セミナーを開いたのだ。
米国の著名シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)と紛らわしい略称だが、2007年に本誌が暴いた山田洋行事件でコンサル料3億円の所得税法違反で摘発された秋山直紀が専務理事を務めていた日米平和・文化交流協会を衣替えしたもの。CISSの背後にはむろん秋山がおり、14年7月に本誌は久間・秋山コンビの復活を報じた。
その彼らの前に、トランプの押し売りというチャンスが巡ってきた。大手防衛メーカーが敬遠するCISSセミナーで、15~17年に防衛副大臣を務めた若宮健嗣(現衆議院外務委員長)が講演して「新防衛族」をアピール。驚いたのは防衛装備庁長官の深山延暁(83年入庁)が登場、「防衛シンクタンクとしてCISSには頑張ってほしい」とおべんちゃらの挨拶をしたこと。「防衛省のドン」だった守屋武昌元事務次官が山田洋行汚職で転落したことなど忘れたかのようだ。骨抜きの検察特捜部を舐めたかのような深山の行動に、別の次官OBは絶句していた。(敬称略)