「風蕭蕭」

有國三知男スルガ銀行社長の記者会見から

2019年1月号 連載 [編集後記]
by 知

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有國三知男スルガ銀行社長

「今まではどちらかというと業績目標を達成する達成志向性みたいなところにフォーカスされていたわけですが、組織の志向性であったり、社内のチームワークであったり、もう少しお客様の課題に向き合う時にチームでやっていくような組織的な姿勢であったり、そもそもそういうものを志向する意欲であったりとかそういうところに焦点を当ててやっております」(有國三知男スルガ銀行社長、2018年11月30日の記者会見)

シェアハウスなど投資用不動産向けの高利融資を急拡大させ、その無理がたたっているスルガ銀行。融資拡大は厳しいノルマ管理のもと行われていた。

投資用不動産向け融資に邁進した「パーソナル・バンク」と呼ばれる首都圏の営業部隊のノルマは対前年でいくらという決め方で、通常の支店より割り増しになっていた。部隊には執行役員から「パーソナル・バンクが風邪をひくと銀行全体が死亡するというようなところまで追い詰められていると自覚するように」と伝えられていた。

部隊から各々のノルマを割り当てられた隊員たちは、上司から「数字ができないならビルから飛び降りろ」と言われたり、「案件を取れるまで帰ってくるな」と言われ、「壁ドン」ではないが、首を掴まれ、壁に押し当てられ、顔の横の壁を殴られたりしながら、ノルマと格闘していた。

人格否定の企業体質は、ガバナンスやコンプライアンス体制の再構築で改めるとして、これからスルガ銀行が真剣に考えなければならない問題は、ノルマ達成主義をやめた後、何をもって行員を評価し、意欲を持って働いてもらうかにある。有國社長は「チームワーク」を掲げたがそれで十分だろうか。「金利」と「手数」しか売るもののない銀行にとって、評価システムの再構築は、業績回復に欠かせぬ重要なカギだ。

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