天皇は完全に引退しても、美智子上皇后は一家の総監督として次代の皇室経営に目配りを続けるだろう。
2019年2月号 DEEP [不世出の民間妃]
天皇は泣いていた。感極まった声に、市井の善男善女も感涙を誘われた。昨年暮れ、85歳の誕生日記者会見は、在位30年間の活動の集大成とも言える内容だったが、特に感動を呼んだ部分は、天皇の歴史上、いずれも異例の発言だった。まず、在位期間を「象徴として望ましいあり方を求める天皇としての旅」にたとえた。皇后を旅の「同伴」者と呼び、平成の象徴天皇像を創造する旅は2人の共同作業だったとして、皇后への「労い」を公言した。「象徴としての立場を受け入れ、支え続けてくれた」として、国民にも「衷心より感謝」すると述べた。天皇とは、天皇になるべく生まれついた宿命的存在であり、求めるものではない。孤高の存在であり、股肱の臣はいても、天皇の責務にパートナーなどいるはずもなかった。たとえそれが皇后でも、「同格」とも受け取られかねない協力者は天皇の権威を損ないかねない。まし ………
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