米中貿易戦争「決着前」に習が檄

党幹部を集め、共産党の「底線」すなわち党による統治体制の死守を厳命した意図は。

2019年3月号 GLOBAL

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「我々は『ブラックスワン』を警戒するだけでなく、『灰色のサイ』も防ぐ必要がある」1月21日、中国共産党の幹部を全国から集めた重要会議が北京の中央党校で開かれ、最高指導者の習近平(国家主席兼党総書記)が演説を行った。これを報じた日本の主要メディアは、そろって冒頭のフレーズを取り上げた。ブラックスワンとは、起こりえないと思われていた事態が起こり甚大な影響が生じるリスクのこと。灰色のサイとは、いずれ大問題を引き起こす可能性が明らかなのに軽視されがちなリスクを指す。どちらもマーケット関係者が好んで使う用語だが、それが強権的な一党独裁国家のリーダーの口から飛び出したことに、メディアの記者たちは目新しさを感じたのだろう。

見逃された重大シグナル

習が念頭に置くブラックスワンは、米大統領のドナルド・トランプの気まぐれに翻弄される米中関係の不確実性。灰色のサイは、国内景気の減速 ………

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