廃帝溥儀と流転した「韓煕載夜宴図」の運命
2019年6月号 LIFE [美の来歴]
五代南唐の貴族で重臣の韓煕載が、政治の抗争に疲れたあげくに妻妾歌女を集めて、夜ごと宴に酔いしれている。女が奏でる琵琶に聞き入り、自ら太鼓をたたいて、歌と舞いに興じた。美酒と音曲に夜が更けて宴は果て、主人は客人を見送った。侍女に囲まれて休む奥の間には寝乱れた寝台がのぞいている――。短命の王朝が盛衰を繰り返したこの時代、「韓煕載夜宴図」は権力の中枢にある政治家が困憊と頽廃の中で宴に暮れる姿を、色鮮やかな画面で再現する。韓煕載は山東の名門出身の志操にすぐれた政治家であったが、朝廷の政策の混迷に異を唱えて周囲の不興を買い、次第に遊興に溺れるようになった。噂を聞いた皇帝李(り)煜(いく)は、当時人物画の名手といわれた画家の顧閎中を韓煕載の屋敷に差し向け、密かに実情を探った。その宴の様子を、顧閎中が記憶をたどって五つの場面に描いた。範たるべき朝廷の重 ………
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