欧州議会「右派」危険な団結

難民からの「主権奪還」を掲げて穏健派を取り込もうとする戦術に、輝く未来なし。

2019年6月号 GLOBAL

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ヨーロッパの政治の表舞台に右派が戻ってきた。これまでの右派と同様に汎欧州主義を排し自国主義を主張するポピュリズムであり、明確な経済政策のビジョンがあるわけではない。そのためある意味、非常に危険な存在だ。欧州連合(EU)を支配する、既得権益層のここ10年間の経済危機への対応があまりにお粗末だったため、右派の復活はその反動だとみる人は多い。一方で、ヨーロッパ大陸を揺るがす市民の不満の根はもっと深いところにあるという見方もある。グローバル化の急速な進展や地中海やヨーロッパ南東部を経由してEUへ向かう難民や移民の急増、国家のアイデンティティーが衰退してゆくことへの不安やEUそのものに対する不信などだ。こうした複雑な感情はヨーロッパ統合と団結の夢を簡単に頓挫させてしまう。実際にこうした要因すべてを背景に、ヨーロッパでは右派政党が躍進し、いくつかの国では政 ………

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