習近平「対米ちゃぶ台返し」の勝算

「不平等条約」を拒否して貿易協議をひっくり返したが、強気の裏にジレンマが透ける。

2019年7月号 GLOBAL

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「世界経済の成長と国際貿易が幾分減速するなかで、今年の中国経済は順調なスタートを切った。主要経済指標は理に適う水準を維持している。(中略)我々は様々なリスクに対応できる完全なる条件、能力、自信を備えている」6月4日、中国の最高指導者の習近平(国家主席兼共産党総書記)は翌日からの訪露に先立ってロシアメディアのインタビューに応じ、中国経済の現状と先行きについて自信満々にそう述べた。この発言は、プロパガンダの要素を差し引いても、経済の現場の実感とまったくかけ離れている。と言うのもインタビューの4日前の5月31日、中国国家統計局が発表した同月の製造業PMI(購買担当者景気指数)が49.4と、好不況の判断の目安となる50を3カ月ぶりに下回ったからだ。

関税上乗せで景況感悪化

PMIは製造業3千社の購買担当者へのアンケート調査を基に算出され、日々変化する最前線の景況感を敏感に反映する。中国 ………

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