2019年9月号 DEEP
どうやら、宰相にヤジ一つ飛ばしただけで、しょっぴかれる国に成り下がったらしい。参院選真っ只中の7月15日、安倍晋三首相が北海道札幌市で演説中、30代男性が「安倍辞めろ、安倍帰れ」と連呼を始めた。その瞬間、北海道警の制服、私服警官約10人が男性の体や服を摑み、力ずくで引きずり出した。「増税反対」と叫んだ女子大生も警官6、7人に腕を引っ張られ、強制排除された。さらに、安倍首相が去った後も2時間近く警官に尾行された。公選法は選挙演説の妨害を禁じ、1948年の最高裁判決はその具体について「聴衆が聞き取ることを不可能または困難ならしめるような所為」と示した。今回はなにも、大音響で妨害したり、暴れて演説への注目を削いだわけではない。為政者へのヤジは、選挙の風物詩かつ、有名税といえる。表現の自由が健全に存る証左でもある。「トラブルや犯罪を未然に防止するための措置」 ………
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