提訴を理由に上映中止にすれば、「裁判を起こした者勝ち」になって、表現がどんどん奪われる世の中になってしまうことが分からぬらしい。
2019年12月号 LIFE
今年の東京国際映画祭(10月28日~11月5日)は大きな目玉もなく静かに閉幕したが、同時期に川崎市で開かれた「KAWASAKIしんゆり映画祭」が、国内外の映画人の話題をさらった。あいちトリエンナーレ問題に続き、表現をめぐる行政の「介入」がまたまた問題になったためだ。発端は、慰安婦問題を扱ったドキュメンタリー映画『主戦場』の上映に共催団体の川崎市が「懸念」を示し、主催者のNPO法人が上映中止を決めたことにある。川崎市の「懸念」の言葉とは、「訴訟になっている作品を上映することで、市や映画祭も出演者から訴えられる可能性がある。市が関わって映画祭で上映するのは難しいのではないか」というものだった。この8月5日の最初の連絡を含め、市は映画祭事務局に計4回、同様の「懸念」を伝えた。この事実は主催者側も市側も事実として認めている。映画『主戦場』をめぐっては、出演した「新 ………
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