脱炭素を巡る政府の「章男外し」。自工会の名を借りたトヨタの主張に業界の反発も強まっている。
2021年6月号 BUSINESS
「トヨタ社長、政府批判」。毎日新聞朝刊に不穏な見出しが踊ったのは2020年12月18日のことだ。日本自動車工業会(自工会)の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)がオンライン取材で、菅義偉政権が50年までに温暖化ガスを実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の政策を掲げたのに対し、「脱ガソリン車」の動きを牽制したためだ。それから5カ月。豊田氏は手を変え品を変え、急速な電気自動車(EV)化への移行に警鐘を鳴らすが、猪突猛進な姿勢に首を傾げる関係者が後を絶たない。
「もはや自動車産業は抵抗勢力扱いですね」。財界関係者は3月に政府が発表した「気候変動対策推進のための有識者会議」の構成員名簿を見て苦笑した。経済界からは日本経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)、ソニーグループの吉田憲一郎会長兼社長らが選ばれたが、自動車や鉄鋼といった温暖化ガスの削減に協力が欠かせな ………
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