「防衛と原発」東芝は国有化される

東芝の異常事態は民生と防衛の境を曖昧にしてきた戦後日本の「総決算」を、国民に突きつけている。

2021年8月号 BUSINESS

  • はてなブックマークに追加

東芝の迷走が止まらない。保身のために古巣の英投資ファンド、CVCキャピタル・パートナーズに自分の会社を買収させようとした車谷暢昭会長が4月に辞任。その車谷氏に辞任を迫った取締役会議長の永山治氏は6月の株主総会で株主の信任を得られず退任。その結果、CEOの綱川智社長が会長と取締役会議長を兼務するという異常事態に陥っている。この会社を実質的に経営しているのは経産省だ。東芝は東京電力と同じ「国有化」の道を歩もうとしている。株式上場して資本市場からカネを吸い上げながら、国の意思で動く国策企業。経営の失敗によってほぼ全ての民生部門を失ったことで、原子力と防衛という東芝の「炉心」が剥き出しになり、もはや「普通の会社」を装うのは難しい。

国の意思で動く「国策企業」

東芝は1969年から48年間、国民的人気アニメ『サザエさん』の番組提供を続けてきた。1956年に始まった『東芝日曜劇場』もお茶の間 ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。