銀行団に迫られついに辞任したが新社長は自身の傀儡。美術品の売却計画も有利な条件で主導し、転んでもただでは起きない強かさ。
2021年10月号 BUSINESS
国内鶏卵最大手のイセ食品(東京都千代田区)でついにトップ交代があったが、経営不安の払拭には程遠い。6月30日付で伊勢彦信会長兼社長(92)が辞任し、田中保成氏が新社長に就任した。伊勢氏といえば、父が始めた事業を大きく発展させ、半世紀に渡りトップに君臨して「エッグキング」の名をほしいままにしてきた。 しかし、近年はワンマン経営の弊害が目立ち、所得隠しや曰くつきの激安スーパー買収などでコンプライアンス強化を求める銀行団との間に溝ができていた。2019年には北陸銀行元常務を社長に据えて融資獲得を図ったが、伊勢氏と対立し事業再生ADR手続きによる抜本改革を唱えたことからわずか10カ月で社長辞任に至った経緯もある。さらに、昨年はコロナ禍で鶏卵相場も下落したためグループ総額400億円ともいわれる借入金の返済を棚上げしたうえ、ノンバンクに手を出す羽目に陥った。銀行団 ………
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