原子力基本法を安っぽい「原子力産業保護法」に書き換え、「次世代革新炉」という絵に描いた餅が独り歩きを始めた。
2023年5月号 LIFE [百花繚乱のまやかし]
原子力基本法は原子力の「憲法」とも呼ばれる。1953年12月8日、米国アイゼンハワー大統領が国連で「平和のための原子力利用(Atoms for Peace)」を提唱すると、日本でも原子力への関心が高まった。1954年3月2日、当時改進党議員だった「ミスター・アトム」こと故中曽根康弘元首相が突如2億3500万円の原子力予算を計上すると、日本学術会議を中心に研究者からは侃々諤々の議論が沸き起こった。日本学術会議は同年4月、広島・長崎の惨劇を踏まえ、「自主・民主・公開」を要求する声明を発表、この主張を盛り込んだ「原子力基本法」が1955年12月19日に議員立法で成立した。原子力基本法には極めて重い理念が盛り込まれているのである。
原発シフトを加速する岸田政権は「GX脱炭素電源法案」というオブラートに包み、議論もないまま原子力基本法の改正に踏み込んだ。原子力発電の利用促進に「必要な措置 ………
オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。
FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。