合法的姥捨て山と化す成年後見

制度を使わせたい国とサービスを軽減したい自治体の思惑が一致。「強制」が進む。

2023年5月号 LIFE

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岡山県井原市に住む元農業大学教授のAさんは、妻と死別後、知的障害を持つ息子と市営住宅でひっそり暮らしていた。そのAさんと息子に成年後見人が付けられたのは2021年2月のこと。以来、通帳と銀行カードを後見人に持っていかれ、生活費は後見人から毎月渡されるようになった。成年後見人が付く人は「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」と定められている。つまり常に判断能力がない重度の認知症の人や知的障害者が対象だ。成年後見人を付けたのは岡山家庭裁判所。国家(家裁)が個人の財産保護などを名目に、半ば強制的に個人に後見人をつける仕組みを法定後見といい後見人の8割は弁護士、司法書士が就任する。親族が選任されることは滅多にない。Aさんらの後見人も弁護士だった。Aさんと息子に「成年後見人をつけたい」と申し立てたのは井原市の大舌勲市長だ。家裁は、市区町村 ………

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