「アニマルウェルフェア」後進国の汚名再び

業者への配慮が色濃くにじみ出る農水省の指針。鶏卵汚職の反省はどこへ。

2023年9月号 BUSINESS

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農林水産省は7月、家畜の福祉に配慮した飼育管理「アニマルウェルフェア」に関する初めての指針を家畜の種類ごとに策定した。だが、その内容は、生産者が無理なく実施できるような配慮が色濃くにじみ出たものとなった。農水省の懲りない生産者保護行政によって指針は骨抜きにされ、アニマルウェルフェア後進国という汚名を返上する機会を逃した。「必要以上に~しない」「ストレスなく~」「可能な限り~」「~しない程度に」。指針には数値基準をほとんど設けておらず、曖昧な表現が並ぶ。農水省は、畜産業者の指針達成状況を監視するが、違反しても罰則はない。畜産関係者は「解釈に幅があり、受け止め方次第。生産者は実利を最優先に行動するだろう」と語る。大きな議論となった採卵鶏の止まり木へのアクセスについては「将来的に実施が推奨される事項」に記載され、当面は対応の必要がなくなった。 ………

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