特選! 現地ルポ /TSMC「熊本4兆円バブル」

県民総生産が6兆6千億円しかない熊本にとっては明らかに過剰な投資。だから異常な経済現象が続々あらわれる。

2024年2月号 BUSINESS [「天孫降臨」の大騒ぎ]

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JR熊本駅から車を小一時間ほど走らせると、雄大な阿蘇山のふもとに、忽然と要塞のような建物があらわれる。世界最大の半導体受託製造会社、台湾積体電路製造(TSMC)が、ソニーグループやデンソーと合弁で熊本県菊陽町の原水地区に建てるJASMの工場である。まわりはキャベツ畑やニンジン畑が広がる長閑な農村地帯。牛舎が点在するゆえ、獣の糞の臭気が漂う。チリひとつないスーパークリーンルームで製造するハイテクの世界とは、どこかアンバランス。そんな小さな田舎町にいま、4兆円以上の投資が注ぎ込まれようとしている。「熊本バブル」が到来しているのだ。TSMCの工場が建設中の菊陽町原水地区に土地を持つ農家の男性は、1500坪ほどの林地を売った。「工場の工事の際、仮設足場の置き場に使いたい」と、地元の足場工事の専門会社が示した金額は3千万円だった。2年前に近所の山林が取引されたときの ………

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