連載 病める世相の心療内科

ネット情報に縛られた人類の行く末

2024年2月号 LIFE [病める世相の心療内科(85)]

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うつ状態の若い女性患者の親から激しい抗議が来た。生きる意味がないとか、消えてしまいたいなどといつも言っている娘に、自殺の恐れがある薬をなぜ飲ませるのだ。責任が取れるのか、と。確かにほとんどのうつ状態の改善薬の効能書きには、自殺の恐れがあるとの記載がある。薬の効能書きには、化学的な薬の説明の後に、起こりうる有害事象が羅列されているが、頻度についての記載はなく、まれにしかない副作用も同列で網羅的に並べられている。そして、最後の方に自殺の恐れについて言及してある。何しろ不安に陥れる記載で埋められ、専門家でない人物が読んだら不安になるに決まっている。そもそも、うつ状態で来院し、病状が悪化すれば自殺の危険度が増す。まずは、うつ状態の改善が優先されるが、こう何でもかんでも有害事象ばかりを書き立てられると、私も使いたくなくなる。しかし、他の薬剤も記載 ………

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