食料安全保障を口実に、保護農政が加速。「国破れて農林族あり」。
2024年4月号 POLITICS
「農政の憲法」と称される食料・農業・農村基本法の改正案が国会に提出された。建前は、ロシアによるウクライナ侵攻でリスクが認識された食料安全保障の強化が狙いだが、実際に進んでいるのはJAグループと自民党農林族による保護農政への回帰だ。時代に逆行して非効率な農業構造を温存すれば、むしろ農業の衰退を加速させることになりかねない。「(基本法の)見直しに当たっては、新自由主義からの脱却を図り、国民一人一人の食料安全保障を確かなものとしていく必要がある」。昨年12月に、党農林族の江藤拓、武部新両議員が首相官邸に持ち込んだ基本法改正に関する提言の表紙には、こんな文言が添えられていた。「新自由主義からの脱却」は、農林族のドン、森山裕総務会長が重視するキーワードだ。現行法は1999年、旧来の農業基本法に代わる法律として制定された。その前段で93年にガットウルグアイラ ………
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