「日本製鉄・橋本会長」襲う買収暗礁の想定外

USスチール買収を仕掛けた日本製鉄を米大統領選が翻弄。想定外の事態はさらに続く。

2024年6月号 BUSINESS

  • はてなブックマークに追加

日本製鉄が米USスチールを買収する契約を結んだと発表したのは昨年12月だった。買収金額は141億ドル(当時のレートで約2兆円)。近年、中国メーカーの台頭で日米の鉄鋼業界の力は衰えたが、買収すれば粗鋼生産量で世界3位となり、目標とする「グローバル1億トン」にも近づく。「日鉄の提示額は買収発表前のUSスチールの株価よりも4割高い。破格の条件だったことに日鉄の並々ならぬ意思が感じられた」と金融関係者は振り返る。

クリフスとの分割買収案

しかし、事が簡単に運ばなかったことはご存じのとおり。5月3日、日鉄は買収の完了時期を先延ばしした。これまでは「9月末まで」と公表していたが、これを「12月末まで」に延期した。すったもんだしているのは、この買収劇が米国政治の行方に関わっているからだ。「USスチールは1世紀以上、米国を象徴する企業だった。米国人が所有し、米国人の鉄鋼組合員が操業する。これから ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。