日韓「徴用工」問題/「初の強制賠償」が不可避に

「戦後処理スキーム」が破綻。中国でも戦後補償問題を再燃させる動きが公然化。

2024年6月号 DEEP

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日韓間の徴用工問題で、韓国政府が昨年打ち出した自国内で完結させる解決策が行き詰まり、韓国での敗訴が確定した三菱重工業や日本製鉄などの資産が原告側に渡る「強制賠償」が避けられない見通しだ。日本はこれを止めるよう韓国の尹錫悦政権に圧力をかけるが、韓国の裁判所が尹政権の言うことを聞こうとしない。昨年末から日本企業の確定敗訴判決が連続したことに加え4月の総選挙で政権与党が大敗したことで、流れを覆せなくなった。

政権与党が総選挙で大敗

強制賠償の実施は尹政権の対日融和外交に打撃を与えるだけでなく、戦時中の占領地や植民地の住民個人への補償や賠償は行わないとの日本の戦後処理スキームが破綻することを意味する。他の国でも同様の訴訟が起きる可能性があり、中国では既に戦後補償問題を再燃させる動きが公然化している。来年の終戦80年の節目を前に、日本のアジア外交は揺らぎ始めた。これまでの ………

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