2024年11月号 POLITICS [リーダーに聞く!]
1958年東京都生まれ。東大工学部卒、建設省入省。93年衆院初当選(通算10期)。党政調会長、国土交通大臣(2015年~19年)、党幹事長を歴任。9月28日の党大会で新代表に選出。
――総裁選の翌日、公明党大会に登壇した石破新総裁の挨拶にもの凄い拍手が沸き起こりました。
石井 事務方が用意した案文には目もくれず、ご自身の言葉で切々と15分もお話しになりました。
11月17日、公明党は結党60年を迎えます。新総裁は、鳥取県知事(後に参院議員)だった亡き父上が、党創立者である池田大作先生(創価学会第三代会長)と縁を結んだ53年前のエピソードを語り、「私の選挙区において本当にお世話になってきました」と仰いました。そして「自公連立25年」を振り返り、「我々は3年3カ月野党でした。辛い時、苦しい時に公明党が一緒にいてくれた。東日本大震災が起きた時ほど、自公が政権を失って申し訳ないと思ったことはない。困っている人、悲しむ人たちのそばにある自公政権でありたい……大衆の中に生き、大衆の中に死んでいく。自民党はともすれば、そういうことを忘れることがあるかもしれない。この精神に学びながら、自公政権があってよかったと、国民に実感していただきたい」とも語られた。党大会に参加した誰もが、新総裁の肉声に感動したと思います。我々の琴線に触れる素晴らしい挨拶でした。
自公の「石石コンビ」(9月28日公明党大会で/写真 堀田喬)
――自公の「石石コンビ」ですね。
石井 実は地元(埼玉14区)の演説会でも「石石」と言われましたが、「石石」は頭が硬いわけじゃない。硬いのは「意志」、頭は柔らかいから、よく噛み合う(笑)。石破さんとは野党時代、共に政調会長を務めた仲です。民主党政権の時は政策決定プロセスが見えず、どうしたらいいのかわからなかった。石破さんと私は口惜しさと苦しさを胸に刻みながら共に闘ったわけです。その後、安倍政権で石破さんはふるさと創生相、私は国交相に入閣し、約2年間ご一緒しました。政権に復帰した12年前の連立合意の原点に立ち戻り、絆を深めていきたいと思います。
――9月30日の「石石」会談で連立政権合意書を交わしました。
石井 10月27日投開票の総選挙では「政治への信頼回復を本気でするのは誰か、どの政党か」が、真正面から問われます。自公政権合意では、その第一歩として「政治家自身が襟を正し、国民の共感と納得を得ながら、不断の政治改革に取り組む」と書き込みました。
――10月7日、新総理の所信表明に対する代表質問に立ちました。
石井 改めて不断の政治改革に取り組み、失われた信頼を取り戻すとともに、持続可能で活力ある日本へ、未来を拓く改革を前に進めることが新政権の責務だと強調しました。
政治資金の透明性確保は不正の抑止に直結します。強い調査権限を持った第三者機関を設置し、国民に疑念を持たれるような資金の流れをなくさなければなりません。 公明党は、総務省に置かれている「政治資金適正化委員会」を改組し、政治的中立性を持つ「3条機関」として「政治資金監督委員会」(仮称)を設置し、収支報告書に不記載や虚偽記入の疑いがある場合の調査権限を付与するという、具体的な提案をしています。
改正規制法の施行は2026年1月1日。それに間に合うよう第三者機関は設置すべきです。来年の通常国会に関連法案を提出し、会期中に成立できるよう、与野党の合意形成に全力を挙げます。
――使途不明の政策活動費は不正の温床。廃止を求めていますね。
石井 私は代表質問で「政策活動費の廃止を含む、もう一段の改革」への決意を質し、総理が「将来的な廃止も念頭に透明性の確保」に言及したことは特筆に値します。公明党は政策活動費を一切支給しておらず、早期廃止をリードしていきたいと思います。
(聞き手/本誌編集長 宮嶋巌)