集中連載/「トランプ」解剖/「アメリカ一極」の完全終焉

報復関税の応酬で貿易戦争激化は必至。剥き出しの国益追求という国家の本能、「トランプ的なるもの」にどう向き合うか。

2025年5月号 POLITICS [国家の本能]

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後世の歴史家たちは、この日のトランプ米大統領の演説を「ポスト冷戦」の世界を形づくった「アメリカ一極体制」という世界システムの完全な終焉を象徴する、最も重大な出来事だったと振り返るかもしれない。4月2日、米ホワイトハウスの庭園ローズガーデン。前代未聞の大規模関税発表のため、記者会見場に姿を現したトランプ米大統領の左手には、「MAGA」ハットが握られていた。演説台の前に立ったトランプ氏は「今日が、長い間待っていた『解放の日』だ」と両手を広げ、こう言った。「2025年4月2日は、米国の産業がよみがえり、米国の収奪されてきたものが取り戻され、そして米国が再び豊かになり始めた日として、永遠に記憶されることになるだろう」その瞬間、会場に招待されていたトランプ支持者たちは大歓声を上げた。自分たち米国人労働者たちの犠牲のうえに富を蓄積してきた外国の国々は罰せられる ………

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