2025年8月号 連載
最近のFACTAでは医療関係の記事が面白い。ネットや新聞を読むだけではわからない切り口の内容が多く、毎回楽しみにしている。
たとえば本年7月号の近畿中央病院が突如診療休止したというショッキングな記事。現在6割以上の病院が赤字経営である中で、勤務医らは過重労働や責任の集中で限界に来ているという。
6月号の抗肥満薬ゼップバウンドについての記事も興味深かった。ピーク時には年間300億円超の売り上げが見込まれているそうだが、医療保険の適用により、公的医療保険を直撃することが懸念される。
肥満が解消されれば高血圧や糖尿病などの疾病も減るから、医療費は全体として減るはずだという目算がそこにある。しかし本記事では緻密な分析により、その予測が如何に楽観的に過ぎるかを示している。調査報道のお手本のようだ。
巷ではフェイクニュースやこたつ記事が溢れている。FACTAにはその「抵抗勢力」として引き続き事実を報じ続けてもらいたい。
明治大学経営大学院兼任講師 小田切尚登