連載/病める世相の心療内科/「スマホ虫」に寄生された楽すぎる日常/遠山高史・精神科医

2026年8月号 LIFE [病める世相の心療内科]

スポーツの世界で日本人の活躍が目立っている。しかし、身体検査のデータからは、明らかに日本の子供たちの体力は低下しつつある。その背景には、便利すぎる世の中とITの普及による日常的な運動量の減少があるだろう。スポーツ自体は盛んなようだが、かつては情報の伝達に足を使う必要があり、水を飲むにも井戸まで行かねばならなかった。スポーツとは別に、こまめな日常の身体運動が欠かせなかったのである。時間の流れの中で掉さす宿命を背負う生き物は、身体を動かすことでそれを乗り切っている。日常の面倒な活動は、身体を丈夫にするだけではなく、脳の情報処理にも役立ってきたのである。特に、不要になった古い情報を削除し、リニューアルすることは、脳の働きだけでは十分にできず、全身を動かすことが何より有効なのである。カマキリの約7割には、ハリガネムシという赤いひも状の寄生虫がいる ………

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