2009年1月号 連載 [メディアの急所]
新聞業界の「勝ち組」のはずだった日経に寒風が吹き荒れている。10月の広告収入は前年同月比で21.1%も減少、朝日(14.7%減)、読売(16.3%減)を大きく上回った。20%以上の減少は2002年7月以来。11月も上向かず、12月はさらに悪化している。この結果、08年の広告収入は720億円程度と、前年より12%も落ち込む見通しだ。
これまで日経の独壇場だったB to B(企業間取引)広告の不振が響いている。特に外資系が牽引してきた金融が3割減、REIT(不動産投資信託)などの不動産も4割減。IT系も振るわない。
収益急落を受けて、今冬のボーナスはかつてない減額となった。直撃を受けたのが上級管理職。部長で57万円、局次長で80万円、局長で110万円も減った。25~30%もの大幅減だ。もともと部長以上は05年から年俸制で、年俸の3分の1は業績連動とする約束だが、これほどの減額は近年にない。部長、局次長、局長クラスは住宅ローンや子供の教育負担が重い世代だけに、この減額は生活設計に響く。部次長(デスク)以下の組合員に対する減額は3.7%、平均6万4千円と軽微だったこともあり、社内の随所で部長のボーナスが古参のデスクより少ない「逆転」が起こった。部長以上は非組合員のため、会社に不満をぶちまける機会もなく、「おい、ボーナスでおごってくれよ」と部下にこぼす部長があちこちに。
10月に開かれた広告部門の社内決起集会で杉田亮毅会長が「結果が出なかったら君らの懐に響くだけだ」と檄を飛ばし、広告部員の顰蹙を買ったが、杉田会長の「予言」は的中。ボーナスカットは「信賞必罰の日経」の始まりだ。