2011年8月号 連載 [IT万華鏡]
クーポン共同購入サイトの代名詞と言えば「グルーポン」や「ポンパレ」だが、実は国内で最初に同サービスを手掛けたのは「Piku」を運営するピクメディアだ。10年4月にサービスを開始した同社は、リベート・ネットワークス、グローバルベンチャーキャピタル、ディーアイティー・パートナーズなどから計9億円近くの出資を受け、国内展開を加速させてきた。が、ここにきて同社の存続を危ぶむ声が広がっている。
「資本金のほとんどを食い潰しているようだ」。こう明かすのは業界に詳しい関係者だ。もともと同社を創業したのは日系カナダ人である森デイブ氏だが、その後、約1年半の間で実に3人も社長が交代している。「旧経営陣が異様に高い給料をもらっていた」「愛人を雇っていた」など真偽不明の情報が業界内に蔓延。人材流出も激しいようで、「窓口の営業担当者が毎回変わる」(クライアントの一社)という声も聞こえてくる。100人以上いた社員も大幅に削減されている。
ただ、こうした情報が業界内に流れるのには隠れた理由がある。現在、クーポン共同購入サイト大手は表では激しい戦いを繰り広げているものの、裏では情報交換を目的とした会合を持っている。だが、その会合に国内の草分け的存在でもあるピクメディアは呼ばれていないのだ。
理由は、ピクメディアが今年1月に業界団体設立を発表したことにある。グルーポンの「おせち問題」を受け、クーポン掲載基準や運用ルールなどのガイドライン策定に動いたピクメディアに対し、競合大手幹部は「なぜピクメディアが音頭を取るのか」と軒並み不快感を示したという。その後、ピクメディアを除いた大手幹部同士の横の連携が生まれたというから皮肉としか言いようがない。ピクメディアに対する様々な悪評がこうした経緯から発せられている可能性もある。