衆院選は待ったなし! 「日本再建」の先頭に立つ

山口 那津男 氏
公明党代表

2012年11月号 POLITICS [インタビュー]
インタビュアー 本誌 宮嶋巌

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山口 那津男

山口 那津男(やまぐち なつお)

公明党代表

1952年茨城県生まれ(60歳)。東大法学部卒業。弁護士。90年に衆院初当選(旧東京10区、当選2回)。2001年から参院議員(東京都選挙区、現2期)。防衛政務次官、党政務調査会長を経て、2009年より現職(今年9月の党全国大会で再任)。

写真/平尾秀明

――野田改造内閣を評価しますか。

山口 わずか1年余りで3度目の内閣改造です。唯一、注目を集めているのは、小泉内閣で外相を更迭された田中真紀子文部科学相ぐらい。民主党は「1内閣1閣僚」で政治主導を進めると言っていたが、大臣の顔がクルクルと代わり、3年前の政権交代以来、少子化担当相が10人目、消費者担当相が9人目、法相が8人目です。これでは、閣僚が腰を据えて政策課題に取り組めるはずもない。衆院選で掲げたマニフェストは総崩れのうえ、民主党自体も分裂しました。外交・安全保障面では、普天間の米軍基地移転問題で沖縄県民を裏切り、日米関係を損ない、そのスキを突かれるように尖閣、竹島、北方領土で隣国との軋轢が高まった。もはや、民主党政権が少しでも続くことは、国民にとって不幸でしかない。

――「年内解散」を迫っていますね。

山口 「3党合意」で残っているのは「近いうちに国民の信を問う」の部分だけです。それは総理から国民へのメッセージでしたから、次は野田さんが約束を果たす番です。公明党としては、衆院選のタイムリミットは遅くとも12月9日と考えています。投票日がそれ以降にずれ込めば、予算編成や税制改正の意思決定に支障を来し、来年の通常国会の審議にも影響を及ぼすからです。自民党の安倍新総裁との党首会談でも「年内解散」の要求を、突き付けることで一致しています。

離党者が増え続ける民主党は衆院単独過半数割れの瀬戸際にあります。特例公債法案の処理や内外の重要課題が山積しており、臨時国会を早急に開かなければならないのに、解散を恐れる執行部は殻に閉じこもって出てこない。臨時国会を「サボタージュ」するつもりかもしれません。

――民主党内の選挙情勢分析では今、総選挙を行った場合、80議席しか獲得できない調査結果が出たそうです。

山口 解散したら議席が激減するから「近いうちに信を問う」という約束は反故にする――そんな裏切りは断じて許されません。三党合意は政党間合意であり、多くの国民が早期解散を待ち望んでいます。野田総理の最後の使命は1日も早く臨時国会を開き、必要最低限の懸案を処理した後、潔く衆院を解散すること。国民の信を得た新政権の手で「日本再建」への道を踏み出さねばなりません。

安倍新総裁とがっちり握手

――9月の公明党全国大会で選挙公約となる重点政策「日本再建―明日につなぐ力。」を発表しましたね。

山口 日本がめざすべき三つの「新しい国のカタチ」を示しました。第1に、国民の命を守る「防災・減災」の国づくり。南海トラフ巨大地震などが懸念される中で、我が党が提唱する「防災・減災ニューディール」の具体化へ、社会資本の再構築を加速させます。第2に、地域主権に立脚した「道州制」の国づくり。国の権限や財源、人材を地方に移し、地域が直面する課題に柔軟に対応できるように統治の仕組みを改め、地域を活性化させます。第3に、原発に依存しない「省エネ・再エネ立国」。省エネルギーの促進と再生可能エネルギーの普及を大きく前進させ、原発に依存しない社会をめざします。

――衆院選での獲得議席の目標は?

山口 次の総選挙は民主党に審判を下す選挙であり、我が党にとっては前回の雪辱戦です。獲得議席は9小選挙区の完勝と、比例区は過去最高の25を上回り、合わせて34議席以上をめざします(現有21議席)。自民党との選挙協力は、10月28日の衆院鹿児島補選で完勝し、総選挙に雪崩れ込むと、安倍さんとがっちり握手しました(笑)。

――日本維新の会との関係は?

山口 橋下さんは同じ弁護士出身だから親しみを感じます。論理的で合理的なだけでなく柔軟性もある。ここと思えばまたあちらという瞬発力も持っています。道州制と大阪都構想の実現では認識を共有しており、維新の会側から公明党が候補者を立てる9小選挙区には擁立しないという話もありますが、比例区は政党名選挙ですから、本来はライバル関係にあります。既成観念をぶっ壊して挑戦する橋下維新の会は、既成政党批判のバロメーターであり、謙虚に受けとめるべきです。

「立党の精神」から50年の節目

――日本維新の会が総選挙で公明党の議席を上回り、「第3極の要」の座を奪われそうですね。

山口 それは結果を見ないとわかりません。今年9月、公明党は立党精神の淵源となった公明政治連盟(公明党の前身)の第1回全国大会(昭和37年9月13日)から50年の節目を迎えました。当時、創立者の池田大作創価学会第3代会長が示された指針は「団結第一」「大衆直結」「たゆまざる自己研鑽」の3点。団結して、大衆と直結して、自ら勉強を怠らず、大衆の願いを実現していくという、我が党の行動原理は永久に変わらないでしょう。

公明党は全国に約3千の議員ネットワークを築き上げ、野党時代は政府を厳しく追及し、課題を抉り出してきました。自公政権では10年間にわたって与党を経験し、この中で市町村、都道府県、そして国と連動した政策実現のプロセスを学びました。政策のネタをつかみとり、実現し、修正し、より良いものに仕上げていく。こうした政策のサイクル、体系性、継続性を、与党の経験を通して身に着けてきました。

次期衆院選は、政党政治が国民の信を得られるかどうかを問う「分水嶺」になると考えています。政党が本来備えるべき「アイデンティティー」(存在意義)、「ガバナビリティー」(自己統制力)、「クリエーティビティー」(政策形成力)の三つの力を併せ持つ公明党こそが、日本再建の先頭に立つべきだと自負しています。結党の理念が定かではなく、団結もできず、国民の声に直結する姿勢も乏しい政党が多い現状で、立党の精神を燃え上がらせ、次期衆院選、来年の参院選、都議選の連続勝利に向けて前進します。

   

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