FACTAの創刊号で表紙を見たときに、題字の下に小書きで“三歩先を読むオンリーワン情報誌［ザ・ファクタ］”とあった。“ザ”とあることに編集人の強い思いを感じ、それ以来の読者である。

責任の存在をどこかに置き忘れ、自由と権利先行の、易きにつく世論がまかり通っている。そうした現象を創り出すにも、修正する上でもメディアが果たす役割は大きい。

貴誌の記事にただ快哉を叫ぶのではなく、己自身が物事の本質を見失わず、将来を見据え、自戒の心を常に持ち続けるための重要なツールとする、そんな読者でありたい。

一言注文めいたことを付け加える。グローバル欄の中国関連情報には聊（いささ）か戸惑いを覚えることがある。

孫文の「中国人は乾いた砂、しっかり握っていないとバラバラになってしまう」という言葉を思い出す。掌握したつもりでいても、バラバラになり易い、という意味だろう。時には、13億の民を統治することの難しさを、慮る必要があるのではないか。

株式会社エグゼクティブ・パートナーズ顧問　村井峰夫