街にはびこる「闇金融」「上限金利」引き上げも

2014年7月号 BUSINESS [インサイド]

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自民党が貸金業者の金利規制緩和に向けて動き出した。多重債務者が社会問題化し、06年に改正された貸金業法により、上限金利は29.2%から20%(元本100万円以上は15%)に下がったが、29.2%に戻す方向で党の財務金融部会が検討を始めた。「零細企業に闇金融の利用が広がっており、上限金利を引き上げるのもやむを得ない」(与党関係者)

金融機関が見向きもしない業績不振の零細事業者や倒産歴のある経営者が利用する商工ローン業者は、上限金利引き下げにより多くが廃業し、生き残った業者も楽ではない。かつて収益の柱であった商業手形割引は手形の流通量が減り苦戦している。年利20%といえば、この低金利下で暴利と思う向きがあるかもしれないが、大半の商工ローン業者はユーザーに難があるため、普通の金融機関から資金調達できない。往々にして、話題の映画『闇金ウシジマくん』さながら、「金主」(スポンサー)から高い利回りを要求されており、ユーザー層のリスクの高さを考えると29.2%でも決して暴利とはいえない。

このため15~20%では経営が成り立たず、違法金利を要求する闇金がはびこることになる。

昨年9月には「クレジットカードのショッピング枠を現金化できる」として法定の最大29倍の利息を受け取っていた貸金業者10人が逮捕される事件が発生した。無価値な天然石をカードで販売し、その場で販売価格の85%で買い戻すという違法融資を繰り返し、カード決済日には大半がデフォルト。その被害を受けるのはカード会社という仕組みだった。

さらに、最近は貸金業の登録をそもそも持たず、売上債権の買い取り名目で暴利を稼ぐ闇金融が都内に増えている。変わったところでは、佐賀県内で闇金融を営む宗教法人が現れた。融資を受ける際に入信手続きを行い、3カ月後に元金とは別に40%分の「お布施」を払う仕組み。担保に手形を預かっており、宗教法人は隠れ蓑にすぎない。

街に闇金融がはびこるのは、現実にニーズがあるからだ。いくら摘発しても新手の違法業者が次々に現れるようだと、上限金利を引き上げるしか、打つ手がなくなる。

   

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