2014年7月号 BUSINESS
凸版印刷(金子眞吾社長)が運営する電子チラシポータルサイト「Shufoo!(シュフー)」のユーザーが690万人に達し、新聞販売店の折り込みチラシの脅威となりつつある。電子チラシの普及が新聞チラシの減少に直接結び付く兆しはまだ明確には見られないが、スマートフォン(スマホ)の急速な普及が電子チラシの拡大を後押ししているのは確かだ。
凸版印刷がShufoo!をスタートさせたのは2001年。まず大阪のみで4店舗のチラシを電子化するところから始めた。名称は「主婦」と「Yahoo!」を掛け合わせたものだという。由来の通りユーザーは20~40代の主婦が中心で、希望する地域のチラシをパソコンやスマホなどで無料で閲覧できる。
04年ごろにイトーヨーカドーとイオンがチラシ掲載企業に加わったことでユーザーが増え始めたものの、10年ごろまではどちらかといえば低迷していた。それが11年に、ユーザーがチラシを見に行く方式からユーザーに配信するプッシュ型サービスに転換、併せて掲載企業への課金をユーザーのクリック数に応じた従量方式(1チラシPVにつき10円)に切り替えたのをきっかけに急拡大。14年4月末現在で690万人、サイトの月間ページビュー(PV)1億3360万、掲載企業約2700社(約10万1千店舗)という日本最大級の規模に成長した。
今年4月には、沖縄県がオフィシャル広報メディアとして採用するなど行政分野にも進出。東京都内で新聞購読世帯が5割を切っている自治体も採用を検討しているという。
最近の電子チラシの急速な拡大の背景には、新聞購読率の減少で潜在的な需要があったところにスマホがタイミングよく普及したという事情がある。新聞購読者が減れば、折り込みチラシを見る人も減ってしまい、生活情報や行政情報が行き渡らなくなる。その空白を埋めつつあるのが電子チラシで、トップを走るShufoo!のユーザーの約7割が新聞非購読者というのもうなずける。「新聞折り込みで届かなくなったチラシをShufoo!がお届けします」(媒体資料)というわけだ。
また、掲載企業には電子チラシへのアクセスデータを取得できるというメリットがある。店舗にとっても、気温が30度以上になった時に「ビール特売チラシ」を出すなど、機動的な対応が可能だ。
新聞販売店側は「(Shufoo!の普及でも)新聞チラシ自体の種類はそれほど減っていない」(全国紙関係者)と平静を装うが、新聞部数のさらなる減少に危機感を募らせる。
確かに、スーパーでスマホを見て買い物をしている人はまだまだ少なく、紙のチラシの方が持ち運びに便利だという人も多い。新聞チラシは、地域の事情に通じた販売店によっては「高齢者のいる世帯限定」というような配達も可能な小回りの利く地域密着型メディアだ。新聞発行部数も減少はしてきているものの、まだ4700万部(スポーツ紙も含む)ある。
とはいえ、行政広報を電子チラシに取って代わられることになれば、少なからぬ打撃となる。また、若年層の新聞離れでこのまま部数が減っていけば、その空白を埋めるように電子チラシのユーザーがますます増えていくことになりそうだ。